「男性」と「女性」はまったく違うものであり、その境界は明らかである…それは思い込みに過ぎませんでした。男女の違いは、外性器の型だけでなく、内性器や性腺、染色体、自己認識といった各レベルにあり、時にそれがあいまいだったり、食い違っていたりもするのです。「性」とは二元論ではない、多様な現象のようです。もちろん昔からこうした子供たちは、少なからず生まれていました。しかし社会の偏見を前に、本人や親、周囲が隠し続け、マスコミや医療さえ触れてきませんでした。そのためその存在自体、世間一般ではあまり知られていません。しかし、あらためて考えてみると、出生届けに始まり、遊びから学校、職業、結婚に至るまで、社会生活のあらゆる側面に「性別」は深く関与しています。この社会は「ⅠS」の方々にとって、決して生活し易い場ではないにもかかわらず、私たちの多くはその事に気付いてもいませんでした。 テレビ東京月曜22時7月クールは、この「ⅠS」に、ドラマとして初めて正面から取り組みます。原作は六花チヨさんの第31回講談社漫画賞受賞作。もちろんその症状は個人によって様々であり、このドラマだけで実状を網羅することは難しいでしょう。それでも、少しでも事実を知ってもらい、皆で考える契機にできればと願っています。 そして常に前向きに生きようとする主人公とその家族の姿を通して、人が「生きること」「愛すること」の素晴らしさを描きます。 タイトルにもある「IS」とは「インターセクシュアル (intersexual) 」の略である。「半陰陽」とも言い、遺伝子、染色体、生殖器(性腺、内性器、外性器)などの一部または全てが非典型的であり、身体的な性別を男性や女性として単純には分類できない状態を指す(詳細は半陰陽の項参照)。本作はそういった身体的特徴を持つ人々を主人公に据え、彼(彼女)らの心の動きや、その周囲を取り巻く環境を描いた作品である。